餓鬼岳(標高 2,647.2m)

平成17年8月16日

餓鬼岳の由来を調べてみると北アルプスのはずれにある子供のような(ガキ)のようなということからガキ岳と名づけられたようです、またガケがガキになったという説もありますが、どちらにしてもあまり魅力のある名前ではありません。
白沢沿いの長い道で標高差は1,600mあり5時間半〜6時間の道のりを歩くことになります。 名前のせいなのか標高差のせいなのか訪れる人も少なく静かな山です。

今回ご紹介するコースは大町市に最近できた国営アルプスあずみ野公園奥の白沢登山口から山頂を往復するコースです。

コースの概略

・ 登山口から最後の水場(標高 1,500m)まで

登山口から白沢沿いに歩きます、さほどキツイ所もありません、危険な所には梯子や木の橋が掛けられ沢の高い所を歩く時は橋に手すりや鎖がつけられています。

・ 最後の水場から大凪山(おおなぎやま 標高2,079m)まで

このコースの中でもっともキツイ場所です、沢を離れ大凪山の尾根に向かって登る道です。登山口から正面に見えるピークが大凪山です、下から見るとこの角度はなるほどキツイと感じさせます。

・ 大凪山から山頂まで

大凪山から尾根の平坦な所をしばらく歩きます、尾根を歩くことで足も休まります、アップダウンを繰り返して正面に山頂が見えると後は一気に登れば小屋に到着です、登りも大凪山までの上りに比べれは楽な上りです。小屋から山頂までは10分ほどで登れます。

注意点

この山で注意したい点は1,600m標高差を登る為、体調や足に自信のない方は無理をしないという点と入山者が少ないという点で何かトラブルがあった時のことを考えると余裕を持って登ることと何人かで登るようにしましょう。口元の案内板にもありますが十分な食料と通信手段を持って行きましょう。

下山の時に沢の反対側に熊が一頭いて、私に驚いたのか沢に落ちそうになり慌てて奥へ逃げ込んでいきました、元々熊の目撃が多くある山ですので笛や鈴などを持って出かけて下さい。

 大糸線信濃大町駅か常盤駅からタクシーまたは豊科インターから直進して大町方面へ高瀬川沿いの道を松川村「道の駅」先から一端国道へ出ます、国道を大町に向かっていくと「常盤」の信号機を左折すると、アルプスあずみ野公園の案内に沿って行けば途中餓鬼岳方面と所々に案内板があります、天気が良ければ常盤の信号を左折すると正面に餓鬼岳がよく見えます。

 

駐車場
登山口

登山口は以前コングランドというモトクロス場があった場所からさらに上った所にあります、駐車場は3カ所あり20台は十分停められます、トイレは登山口手前のタクシー方向転換用スペースにあります。入山届けは登山口に用意されています。

白沢登山口(1時間10分)〜魚止の滝(20分)〜最後の水場(1時間45分)〜大凪山(1時間05分)〜百曲手前(1時間)〜餓鬼岳小屋(10分)〜山頂

下山 山頂(1時間半)〜大凪山(2時間半)〜登山口  

 

 

白沢登山口・沢の中の登山道・紅葉の滝

 

登山口から最後の水場までは沢の中や沢に沿った所を登ります、危険な箇所には梯子や橋がありますが雨の日は滑りやすいので注意が必要です。

水場から大凪山までは急坂が続きます、整備はされていますがザレている所もありますので特に下りで足を取られないようにしましょう。

大凪山からしばらく尾根道になります、木の根が露出している所がありますので足を取られないように注意して下さい。

道に迷ってしまうような所はありません、山岳地図を見ると百曲手前に「急なガケの淵を歩く危険」とありますが、岩場を想像していましたが、土の道で左側に崩れて道幅が狭くなっている箇所でした距離は5〜6m程度です。

紅葉の滝上の狭い道・魚止の滝手前の橋・魚止の滝

 

 餓鬼岳に登るには1つの決心が必要です、松本から山を見ると山頂に向かって真直ぐに伸びた尾根が見え、ひたすら長い上り坂を登って行くように見えます、誰でも白馬岳や鹿島槍と餓鬼岳では餓鬼岳に行きたいと思う人は少ないでしょう、由来を聞けば北アルプスの端にある子供のような山、ガキのような山と聞くと少しは行く気にもなりますが、標高差1,600mで人が少なく熊が出ると聞きます、山仲間の話を聞いても遠くて二度と行きたくないと言います。

 お盆休みに入り天候は今一つ不安定な日が続き青空が見えません連休最後の16日降水確率は10%の予報に思い切って出かけることにしました、高瀬川沿いの松川村「道の駅」で朝食を済ませ、一端国道へ出て「常盤」の信号を左折すると目の前に餓鬼岳が見えます。
 近年国営アルプスあずみ野公園が出来夏休みの子供達で賑っています、公園の前を過ぎて舗装された細い道を行くと以前モトクロス場があった場所に出ます、当時私もモトクロスをやっていたこともあり何度かここへ大会を見に来ました、モトクロス上を過ぎてしばらく行くと左右に駐車スペースがありました。

 入山届けを提出して6時スタートです、白沢登山口の大きな看板の先を左に沢へ下りていきます花崗岩の白い岩と水量の多い沢がゴーゴーと音を立てて流れています、前日の雨のせいか辺りは湿っています、沢に掛かる橋を渡り沢を右に左に登って行きます、沢沿いに付けられた道は狭く流れ込む小さな沢をまたいで登って行くと、さっきまで晴れていた空がどんよりと曇りガスも出て来ました。

魚止ノ滝から少し上がった所の沢に掛かる木の橋・最後の水場・大凪山山頂

 

 40分ほど歩くと紅葉ノ滝が見えて来ました、滝をカメラに納め曇った空を見上げ、初めて来た人気のない山道で、なんとなく心細くなり「帰ろうかな」と独り言を行って今来た道を下山することにしました。
  しばらく戻るとご夫婦と会い「天気が悪いので戻って来ました」と声を掛けました「それにしても何だか薄気味悪い所ですね」「熊が出そうな感じで」などと休みながら話しているうちに「午後は回復するそうですよ。12時までに着ければと思っているので、いっしょに行きませんか」と誘われ、私も誰か登る人があるならと「行きますか」と話がまとまり3人で登ることにしました。

 30分ほどのロスをして紅葉ノ滝を過ぎ沢の中を左岸から右岸へと沢床をまたぎ、やがて花崗岩壁と一気に流れ落ちる「魚止ノ滝」が見えて来ました、高さ40mほどで見ごたえのある滝だ、左の急坂を登り右に巻き込んで進むと標高1,500m最後の水場に付きます。

 沢の水を飲んで出発です、道は沢から離れジグザクになった急な坂道が続きます、大凪山までは標高差600mです、沢から尾根に上がる為このコースの中でもっともキツイ登りです。時折眼下に大町付近が見えます、直ぐ下には今登って来た登山口からの道が良く見えています 9時45分2,079m大凪山到着です。

大凪山からの尾根・餓鬼岳山頂・南斜面


 大凪山からしばらくの間尾根歩きになります、天気がよければ景色を見ながらの尾根歩きも今日はガスって何も見えません、今までのキツイ登り坂の疲れも取れる快適な尾根です。2度ほどアップダウンを繰り返し目の前に山頂らしき姿が見えて来ました、左手が鋭く崩れ落ちた場所を抜け通称百曲へと近づいて行きます。

百曲・小屋まで後わずか・前方には山頂が

 

 百曲を過ぎ小屋までの案内板が見えて来ました、前方には山頂らしいピークも見えています「後もう少し」小屋へ向かって歩いていると左側の薮の中を木が折れる音と、ともに何かがいます、慌てて笛を吹くと、うめき声を上げてものすごい勢いで薮の中を下って行きます、姿は何も見えませんでしたが熊か鹿か大きな動物には違いありません「え〜帰りが嫌だな〜」

餓鬼岳小屋・餓鬼岳山頂

 12時丁度山頂到着です、引き返したロスタイムを引いて5時間半の登りです、途中の休みも立ったまま水分の補給程度でこの時間です、やはり時間が掛かります。山頂はガスって何も見えません、天気が良ければ立山や剣岳、鹿島槍ケ岳などが見えるはずです。家に着いたことを連絡して早速お昼です、持って来たおにぎりを一つ食べたところで雨が降って来ました、慌てて荷物をサックに詰めて下山です、この間15分です「ただ来て見ただけだ!」どしゃぶりの雨ですカッパを着ている間にずぶ濡れです。

 雨も10分程度で上がり早々にカッパを脱いで下山です、1時間半程度で大凪山到着です後2時間半で登山口です、最後の水場で持って来た残りの1つを食べ後1時間半の頑張りです。
  紅葉の滝を過ぎたころ沢の反対側に熊がいます、私に驚いたのか沢に落ちそうになって必死によじ登って行きます「ガラガラガラ〜」と岩が沢に落ち、大きな倒木が落ちて岩にぶつかります「ゴ〜ン」っと岩に当って沢に響きます「ヤバ」熊もびっくりしたとは思いますが、こちらもびっくりです、思わず足も速くなり少し薄暗い道を笛を吹きながら大急ぎで下山です。